【第2部】朝5時のハウス|福光園・福田さんの365日と完熟いちごの裏側|鈴鹿

すずこれ特集|福光園

【第2部】朝5時のハウス――福田さんの365日|完熟を支える静かな時間

朝5時から始まる福田さんの一日。観察と“待つ時間”の積み重ねが、完熟いちごを支えています。

📌この記事の3つのポイント

・福田さんの一日は朝5時から始まる
・いちごの一年は“待つ時間”と“観察”の積み重ね
・多くを語らない人の背中が、いちばん雄弁だった

はじめに

福田さんは、自分のことをあまり語りません。

取材中も、話題はいつもいちごのこと。
水のこと。温度のこと。苗のこと。

「特にないです💦」

そう言って笑う姿に、どこか誠実さがにじみます。

でも、朝5時から始まる一日を聞いたとき、私は言葉よりも“時間”に圧倒されました。

1. 朝5時、ハウスの空気を読む

朝5時に起床。まだ外が静かな時間に、ハウスへ向かいます。

いちごは、昨日と同じ顔をしていません。

夜の温度はどうだったか。
湿度は上がりすぎていないか。
病害虫の兆しはないか。

毎日、同じように見えて、少しずつ違う。

観察は、感覚に近い作業だと感じました。

6時半には配達。
8時から本格的な農場作業が始まり、夜8時頃まで続きます。

就寝は24時。
いちごと、そして夏はぶどう。

休む暇は、ほとんどありません。

2. いちごの一年は、3月から始まる

いちごの収穫が終わるのは5月末。けれど、本当のスタートはその少し前から。

3月末から苗づくりが始まり、9月末に定植。
12月上旬には収穫が始まります。

繁忙期は1月から4月。

世の中が“旬で甘い”と楽しんでいるその裏で、農家さんの一年でいちばん忙しい時間が流れています。

いちごは待ってくれない。
でも、急かしてもくれない。

その間で、福田さんは静かに向き合っています。

3. 子どもたちとの時間

福光園では、近くの保育園の園児さんをいちご狩りに招待しています。

きっかけは、とてもシンプルでした。

「出荷が終わって、まだ残っているいちごがもったいなくて。」

毎年、印象に残る光景があるそうです。

いちごが苦手だった子が、「食べられた!」と笑う瞬間。

「喜んでもらえたら、それだけで十分です。」

その言葉に、余計な説明はいらない気がしました。

おわりに

福田さんは、派手ではありません。

自分の苦労を語ることも、時代への不満を口にすることもない。

でも、朝5時のハウスには、確かな覚悟があります。

完熟を待つこと。
毎日観察すること。
子どもに笑ってもらうこと。

それらを“特別なことではない”ように続けている。

その背中こそが、いちばん雄弁に感じました。

▶ 編集長・松山かなの感想

福田さんのお話を伺いながら、私は何度も「静かな強さ」という言葉を思い浮かべました。

声を張り上げなくても、理念を大きく掲げなくても、毎日同じ時間にハウスへ入ること。

それだけで、十分に覚悟が伝わる。

看護師として働いてきた中で、“当たり前を続ける人”の強さを、私は何度も見てきました。

福田さんも、その一人だと思います。

次回の第3部では、猛暑と向き合ういちご農業の現実と、それでも作り続ける理由についてお届けします。

松山かな
(看護師/すずこれ編集長)
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