「今やらなければ、きっと遅くなる」|神戸宗社・令和の大改修を決断した理由【第2部】|すずこれ

連載第2部|神戸宗社インタビュー

「今やらなければ、きっと遅くなる」

―― 神戸宗社・令和の大改修を決断した理由 ――

📌この記事の3つのポイント

・令和の大改修は、20年前から“構想だけ”は存在していた
・決断の背景にあったのは、建物の老朽化だけではない危機感
・合意形成と資金集め――「続ける」ために向き合った現実

はじめに

「実は、改修の話自体は、父の代からあったんです。」

そう語られた一言は、“思い切った決断”というイメージとは、少し違うものでした。

令和の大改修は、ある日突然生まれた計画ではありません。 ずっと頭の片隅にあった課題が、ようやく「今、向き合わなければならないもの」として形を持った――そんな印象を受けました。

1. 20年前から存在していた「改修」という選択肢

神戸宗社の社殿は、前回の改築から約100年。老朽化は、誰の目にも明らかになりつつありました。

実は20年ほど前、先代の宮司の時代にも、建て替えの話は持ち上がっていたそうです。

図面も残っている。「こうしたかったんだろうな」と分かる資料もある。 それでも、当時は実現に至りませんでした。

「やろうとしたけど、なかなか難しかったんやと思います。」

お金のこと。周囲の理解。“古き良きものを残したい”という気持ちとの折り合い。 どれも、簡単に答えが出るものではありません。

2. 建物以上に感じていた「距離」の問題

今回、改修を決断する大きな理由は、単なる老朽化だけではありませんでした。

鈴本宮司が口にされたのは、 「世代が下るほど、神社との距離が離れていく」という感覚です。

神棚を置かない家が増え、日常の中で神社を意識する場面が減っていく。 行事のときだけ訪れる場所になり、それ以外の時間は、どうしても縁遠くなってしまう。

「このままいくと、次の世代、その次の世代で、神社は“遠い存在”になってしまうかもしれない。」

そう感じたとき、「まだ動ける今のうちにやらなければ」という思いが、はっきりとした決意に変わっていきました。

3. 合意形成という、いちばん大きな壁

改修を進める上で、最も難しかったのは「人の合意」だったと言います。

神戸宗社には、複数の地区が関わっています。氏子総代の方々も高齢化が進み、意見のまとめ方自体が難しくなっていました。

お金が絡む話になれば、なおさらです。

「宗教のことなのに、なんでそんなお金が必要なんや、という声も、もちろんありました。」

そこで立ち上げたのが、若い世代を中心とした御造営委員会でした。 従来の枠組みだけに頼らず、新しい形で話し合いを進める。 それは、神社の在り方そのものを少しずつ変えていく試みでもありました。

4. 「次世代につなぐための意志」

事前のアンケートで、改修で大切にした考え方として挙げられていた言葉があります。

「次世代につなぐための意志」

それは、立派にすることでも、見栄えを良くすることでもありません。 “続けられる形”に整えること。 次の世代が、「これは自分たちの場所だ」と思える余白を残すこと。

令和の大改修は、未来へのバトンを手渡すための準備なのだと感じました。

おわりに

何かを守るために、あえて「変える」選択をする。 その決断には、想像以上の時間と労力、そして覚悟が必要です。

神戸宗社の令和の大改修は、過去を否定するものではありません。 むしろ、これまで積み重ねられてきた歴史を、次の世代が受け取れる形に整える作業なのだと思います。

次回の第3部では、石取祭りをはじめとする地域行事や、子どもたち・新しく住む人たちとどう関わっていこうとしているのか。 「これからの神戸宗社」の姿を、未来の視点からお伝えします。

✏️ 編集長:松山加奈の感想

今回のお話で印象的だったのは、「今やらなければ」という言葉の裏に、焦りではなく“責任感”があったことです。 変えることは怖い。でも、何もしないまま失われていく方が、もっと怖い。 その静かな覚悟が、令和の大改修という形になって現れているのだと感じました。

次の世代が、「あのとき動いてくれてよかった」と振り返れるように。 その願いが、社殿の一つひとつに込められているように思います。

松山かな(看護師/すずこれ編集長)
神戸宗社インタビュー|連載まとめ

📚 全3本リンク

気になる回からでも読めます。よければ保存して、あとでゆっくりどうぞ。

※リンクは新しいタブで開きます。
鈴鹿のお役立ち情報

BLOG

PAGE TOP