これからの鈴鹿市の広報はどう変わる? ― アンケートから読み解く“未来の方向性”

第3部

これからの鈴鹿市の広報はどう変わる?
― アンケートから読み解く“未来の方向性” ―

文:すずこれ編集部

第1部で“現状の地図”を整理し、第2部で“課題とモヤモヤ”を見てきました。最終となる第3部では、3つのアンケートから得られたデータをもとに、
「これからの鈴鹿市の広報は、どう変わっていくとよさそうか?」
を、できるだけ客観的に、静かに、丁寧に考えていきます。

◆ はじめに

広報のかたちは、予算や人員だけでなく、市民の暮らし方や情報の受け取り方によっても変わっていきます。今回のアンケートは、単なる「満足度調査」ではなく、次の一歩を考えるためのヒントがたくさん詰まっていました。

この第3部では、第1部・第2部で整理した数字をふり返りながら、そこから見えてくる「これからの広報の方向性」をまとめていきます。

◆ 1. データが示す「最適な発行スタイル」

3つのアンケート(市民・自治会長・LINE登録者)のうち、どの対象でも最多だった意見があります。

● もっとも多かった回答

「広報すずかは月1回でよい」

  • 市民:51.7%
  • 自治会長:60.0%
  • LINE登録者:46.5%

逆に「月2回のままがよい」と答えた人は、いずれも4〜5割に届かない程度でした。多くの人にとって、月1回のペースのほうが「ちょうどよい」と感じられていることがうかがえます。

● なぜ月1回が求められるのか

アンケート全体を見ると、主な理由は次の3つに整理できます。

  1. 市民側:一度にまとまった情報が届くほうが、読みやすく感じる
  2. 自治会側:配布回数が減ることで、負担が軽くなる
  3. 行政側:制作・印刷のコストを集中させ、内容を充実させやすい

こうした視点を合わせて考えると、「月1回+紙と電子の併用」という形が、現実的かつ支持も多いスタイルだと読み取れます。

◆ 2. 「紙+デジタルのハイブリッド」が必要な理由

紙とデジタルのどちらが良いか、という“二者択一”ではなく、「どちらも必要だが、役割が違う」というのが、今回のアンケートから見えてきた結論です。

● 紙(広報すずか)が向いている層

  • 60〜80代を中心とした高齢層
  • 回覧板や自治会を通じて情報を受け取る世帯
  • 紙で手元に残る安心感を大切にしたい人

● デジタル(HP・LINE)が向いている層

  • 20〜50代の働き盛り世代
  • 子育て中で、スマホでさっと情報を確認したい人
  • 時間や場所にとらわれず、必要なときに必要な情報を探したい人

つまり、鈴鹿市に暮らす人たちの情報の受け取り方は、世代や生活スタイルによって多様化しているということです。

一言でまとめるなら、紙には「届ける力」があり、デジタルには「探しやすさと即時性」があります。それぞれの強みを活かしつつ、足りない部分を補い合うように設計していくことが、これからの広報に求められる方向性だと考えられます。

◆ 3. 自治会への負担軽減は「急ぐべき課題」

3つのアンケートの中でも、特に切実さがにじんでいたのが自治会長アンケートです。

  • 配布負担が大きい:78.9%
  • 担い手の高齢化が進んでいる

自治会は、広報すずかや回覧板を通して、各世帯に情報を届ける「最後の1マイル」を担ってきました。しかし、世帯数の多い地区や、役員のなり手が少ない地区では、その役割を今後も続けていくことが難しくなりつつあります。

● ここで必要になる視点

  • 広報すずかの月1回化による配布回数の削減
  • 電子回覧板やメール配信など、デジタルな補完手段の活用
  • 「配って当たり前」から、「地域に合った方法を選べる」方向へ
  • 負担が特定の人に集中しないよう、役割を分散する工夫

自治会の負担を軽くすることは、広報の効率化にとどまらず、地域コミュニティを長く続けていくための大切なテーマでもあります。

◆ 4. 市HPは「構造を見直す」段階に来ている

市民の約半数が市HPを利用している一方で、「探しにくい」と感じている人も少なくありませんでした。

  • 表示されている語句から必要な情報を連想できない:54.6%
  • 申請書類の場所がわからない:29.1%

これは、サイトの内容が不足しているというよりも、「どう整理されているか」「どう案内されているか」のほうに課題があることを示しています。

● 今後求められる工夫

  • 市民が日常的に使う言葉に合わせたカテゴリ名やメニュー構成
  • 「目的別」「ライフイベント別」など、入口を増やす工夫
  • 検索機能の改善や、関連情報へのリンク強化
  • 申請や相談の流れを、ひとつのページで理解できるように整理

市HPにすでに蓄積されている情報を、どれだけ「迷わず取りに行ける形」に直していけるか。これは、今後のデジタル広報を考えるうえで、重要なポイントになりそうです。

◆ 5. LINEの登録率を上げることが“鍵”になる

今回のアンケートの中で、特に「もったいない」と感じられたのが、市公式LINEに関するデータでした。

  • 「役立つ」+「やや役立つ」:84.4%(利用者の評価は高い)
  • 友だち追加している市民:15.6%(全体の利用率は低い)

使っている人からの評価は高いのに、そもそも利用者自体が少ない――。このギャップは、今後の広報DXを考えるうえで大きなポイントです。

● 登録を増やすために考えられること

  • 広報すずかやチラシに、QRコードとともに具体的な「メリット」をわかりやすく記載する
  • 子育て支援センターや学校、病院など、生活導線の中で案内を強化する
  • 防災やごみ収集、子育て情報など、生活に直結する情報を「LINEで受け取る」イメージをはっきり伝える

特に防災情報や警報、学校の臨時休校、ライフラインに関するお知らせなどは、紙では代わりにならない分野です。LINEの登録率が上がれば、鈴鹿市全体の「情報の守り」が一段と強くなると考えられます。

◆ 6. 市民が求めているのは「安心の土台」

3つのアンケートすべてで、力を入れて発信してほしい情報のトップ3は同じでした。

  1. 防災・安全
  2. 健康づくり・医療
  3. 保険・福祉

これらは、言い換えると「暮らしの安心の土台」そのものです。

イベント情報や観光・文化の発信も、まちの魅力を高めるうえで欠かせませんが、その前提として「安心して暮らせること」があります。市民がまず求めているのは、その基盤に関わる情報だということが、今回の結果から読み取れます。

◆ 7. まとめ:これからの広報の方向性は?

3つのアンケートを通して見えてきたのは、鈴鹿市の広報が「紙からデジタルへ」と一気に切り替わる段階ではなく、「紙とデジタルが共存しながら、少しずつバランスを変えていく」段階にある、ということでした。

アンケートの結果から整理すると、これからの広報の方向性は次のようにまとめられます。

  • 月1回発行+紙と電子の併存:もっとも合理的で、支持も多いスタイル
  • 紙は「届ける力」、デジタルは「即時性と探しやすさ」:役割を分けて活用するハイブリッド型広報へ
  • 自治会への負担軽減:配布に頼りすぎない体制づくりが急務
  • 市HPの改善:迷わず必要な情報にたどりつける構造へ見直す時期
  • LINEの登録率向上:防災・子育て・福祉など、生活情報の即時性を支える鍵
  • 「安心の土台」に関する情報を最優先:防災・医療・福祉は広報の根幹

鈴鹿市がこの方向へ一歩ずつ進んでいけるかどうかは、行政だけでなく、自治会や市民一人ひとりの理解と協力にも関わってきます。すずこれとしても、今後もこうした情報をやさしく整理しながら、暮らしに近い目線で追いかけていきたいと思います。

第3部を書きながら感じたのは、「広報のカタチは、市民の暮らしそのものに寄り添って変わっていく必要がある」ということでした。

紙でも、デジタルでも、「届くこと」「伝わること」が何より大切で、そこに暮らしの安心がつながっていきます。

地域のみなさんの声やデータをもとに、鈴鹿市の広報がもっと“やさしくて使いやすいもの”になっていく未来を、私もいち市民として楽しみにしています。

松山加奈(看護師/「すずこれ」編集長)

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