鈴鹿に届いた一冊の絵本|事故を乗り越えた元レーサーが伝える「生きる力」とインクルーシブ社会

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鈴鹿に届いた一冊の絵本
事故を乗り越えたレーサーが伝える「生きる力」とは

レース事故で頸椎損傷となり、四肢麻痺という大きな変化を経験しながらも、 新たな挑戦を続けてきた元レーサー・長屋宏和さん。
鈴鹿市に寄贈された絵本をきっかけに、 挑戦を続ける生き方と、 社会のつくり方について、生活者目線でやさしく整理します。

📌この記事の3つのポイント

鈴鹿市に寄贈された絵本は、事故を乗り越えて挑戦を続ける姿を子どもたちに届ける一冊です
長屋さんの歩みには、車いすユーザーの不便を社会の工夫に変える視点があります
絵本は、障がいや違いを「知識」ではなく気持ちとして感じる学びにもつながります

鈴鹿に届いた「挑戦の物語」

ニュースを見て、とても心に残った出来事がありました。

元F3レーサーの長屋宏和さんが、鈴鹿市にご自身の半生を描いた絵本 『ジーンズをはきたい!』を寄贈されたという話です。

22歳のとき、F1日本グランプリのサポートレースで事故に遭い、 頸椎損傷による四肢麻痺となった長屋さん。 それでも、入院生活を経て、今はeモータースポーツへの挑戦や 車いすファッションブランドの展開など、新しい形で前へ進み続けています。

今回寄贈された絵本は、市内の小学校28校に1冊ずつ配布されるほか、 市立図書館にも置かれる予定と報じられています。

▶ 松山かなの感想
「鈴鹿」というまちだからこそ、この物語が届く意味はとても大きいと感じました。 レースのまちで、速さや勝敗だけでなく、その先の人生まで伝えられることに深い価値があると思います。

「できない」を、そのままにしなかったこと

長屋さんの歩みで印象的なのは、 障がいを負ったあとに「失ったもの」だけで物語が終わっていないことです。

たとえば、 「座るとジーンズの縫い目が痛い」 という実感から、車いすユーザーに配慮したジーンズづくりに取り組まれました。

参考資料でも、車いす利用者にとって衣類は単なるおしゃれではなく、 皮膚トラブルや褥瘡リスクとも関わる“生活の質に直結するもの”だと整理されています。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

気づきの出発点 お尻の縫い目が痛くて、普通のジーンズがはきにくかった
生まれた工夫 車いすユーザー向けのユニバーサルファッション開発
社会的な意味 「見えにくい不便」を可視化し、製品として形にしたこと
広がる視点 福祉用品ではなく、誰かの暮らしを支えるデザインとして考えられること

▶ 松山かなの感想
看護の現場でも、ほんの少しの痛みや不便が積み重なって大きな負担になることがあります。 その小さな困りごとを「仕方ない」で終わらせず、改善の形にしていく視点は本当に大切だと思います。

技術が広げる「できること」の可能性

長屋さんは現在、eモータースポーツにも力を入れています。

参考資料では、これは単に競技の場を移したという話ではなく、 身体的制約があっても参加しやすい環境を広げる挑戦 として位置づけられていました。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

eモータースポーツが示していること
  • 身体状況に合わせた入力装置の工夫ができる
  • 「人が既存の仕組みに合わせる」のではなく「仕組みが人に寄り添う」発想がある
  • 障がいの有無を超えて、競技や挑戦に参加できる可能性が広がる
  • 技術が“できない”を減らす道具になりうる

こうした考え方は、モータースポーツだけでなく、 医療、福祉、教育、そしてまちの仕組みづくりにも通じるものがあります。

▶ 松山かなの感想
誰かが今の仕組みに無理に合わせる社会よりも、 仕組みの側が人に合わせていく社会のほうが、ずっとやさしい。 そのヒントが、この取り組みにはあるように感じました。

絵本だから届くものがある

今回、長屋さんの経験が「絵本」という形で子どもたちに届くことにも、大きな意味があると感じます。

参考資料では、障がいや違いをテーマにした絵本の読み聞かせは、 知識を伝えるだけでなく、 他者理解や思いやりの形成につながる可能性があると整理されています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

しかも、今回は実際の体験をもとにした物語です。 子どもたちにとって、 「こういう人がいる」と頭で知るだけでなく、 「こう感じたんだ」「こうやって前に進んだんだ」と心で受け取るきっかけになりそうです。

絵本が持つ学びの力
  • 障がいを遠い話ではなく、身近な物語として感じやすい
  • 違いを「特別なこと」ではなく、人それぞれの個性として考えるきっかけになる
  • 生きる力やあきらめない気持ちを、やわらかく受け取れる
  • 家庭や学校で対話を生む入口になる

▶ 松山かなの感想
「知っておこう」という学びも大事ですが、 子どもたちにはまず「感じること」から入れる形が合っていることも多いです。 絵本には、その入り口になれる力があると思います。

これは一人の感動話だけではない

長屋さんの物語は、たしかに心を打つ話です。 でも、それだけで終わらせるのはもったいないとも感じます。

この出来事の中には、 不便を見つける視点技術で可能性を広げる視点、 そして 子どもたちにどう伝えるかという視点 が、いくつも重なっています。

ファッション 見えにくい困りごとを、具体的な工夫に変える
モータースポーツ 技術によって参加の可能性を広げる
絵本・教育 次の世代に、違いを受けとめる感性を手渡す
地域への寄贈 鈴鹿というまちに、物語を返していく

▶ 松山かなの感想
一人の経験が、社会の見え方を変えることがあります。 そして、その経験が子どもたちに届くなら、それは地域にとっても大きな財産だと思います。

まとめ|「当たり前にできること」を少しずつ増やしていく

今回のニュースを読んで、強く残ったのは、 長屋さんの「当たり前にできることを少しずつ増やしている」という言葉でした。

それは、派手な言葉ではないけれど、 暮らしの中で本当に大切な感覚だと思います。

誰かにとっての不便に気づくこと。 その不便を工夫で減らしていくこと。 そして、それを次の世代に物語として手渡していくこと。

今回鈴鹿に届いた一冊の絵本には、 そんなやさしくて力強いメッセージが込められているように感じました。

学びは、教室の中だけにあるものではなく、 誰かの生き方の中にもある。
そんなことを、あらためて考えさせてくれる出来事でした。

※本記事は、2026年3月25日配信の伊勢新聞報道内容と、ユーザー提供の参考PDF 「長屋宏和氏の挑戦を深掘り」をもとに整理しました。参考PDFでは、ユニバーサルファッション、 eモータースポーツ、絵本を通じたインクルーシブ教育の意義が整理されています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

松山かな(看護師/すずこれ編集長)
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