地産地消が広がらない理由は?|鈴鹿の買い物導線から考える地元野菜【第3部】

すずこれ|食・農業

地産地消が広がらない理由は「買い物の導線」?|鈴鹿の暮らしの中で考える【第3部】

地産地消に前向きな人は多いのに、日常の買い物ではなかなか広がりきらない。
その背景に見えてきたのは、意識の低さではなく 「見つけやすさ」「買いやすさ」「続けやすさ」でした。
第3部では、協議会資料とアンケートから、鈴鹿の地産地消の“あと一歩”を暮らし目線で整理します。

📌この記事の3つのポイント

鈴鹿の課題は「意識不足」より「買い物の導線」にありそう
スーパーの売り場や情報の見え方が日常の選ばれやすさを左右する
給食や親子の会話も地産地消を身近にする大切な入口になる

「買いたい気持ち」はあるのに、なぜ広がりにくいの?

第1部、第2部で見てきたように、鈴鹿では地産地消に前向きな人が多く、直売所の利用経験も高い水準でした。

それでも、日々の買い物全体の中で見れば、 地産地消がもっと自然に広がっているとは言い切れない部分があります。

そこで見えてくるのが、 「応援したい気持ち」と「日常の買い物のしやすさ」の間にあるギャップです。

地産地消が広がらない理由は、 「関心がないから」ではなく、毎日の買い物の流れの中で選びやすくなっているかにあるのかもしれません。

忙しい中での買い物では、 あちこち探さなくても見つかること、 その場で納得して選べること、 そして無理なく続けられることが大切になります。

「売っていない」ではなく「気づいていない」可能性

協議会では、市内の量販店は約24店舗あり、 そのうち約16店舗に地元産コーナーがあると説明されていました。

売場協議会資料から見えたこと
市内量販店 約24店舗
地元産コーナーあり 約16店舗
示唆されること 「ない」のではなく、「目につきにくい」「その時たまたま見つからない」可能性もある

これは大きなポイントです。 地元産が全く流通していないのではなく、 売り場の見つけやすさや遭遇しやすさが課題になっている可能性があります。

たとえば、同じスーパーの中にあっても、 コーナーの場所が分かりづらかったり、 品目が少ない日にたまたま通りかかったりすると、 「地元産ってあまり見かけないな」と感じやすくなります。

求められているのは「応援してください」より「ここで買えます」

第2部で見た通り、地産地消を進めるために必要な情報として、 最も多かったのは「購入できる場所の情報」65.6%でした。

これはつまり、 市民がまず欲しいのは気持ちを高めるメッセージだけではなく、 すぐ行動につながる実用的な情報だということです。

📝 暮らしの中で必要とされる情報
  • どこの店で買えるのか
  • どんな品目があるのか
  • 今が旬なのは何か

毎日の買い物は、理念より先に「迷わない」ことが大切です。 だからこそ、地産地消の情報発信も、 読み物として伝えるだけでなく 探しやすく、使いやすく、思い出しやすい形が求められているのだと思います。

子育て世代ほど「ワンストップ」が大切になる

協議会資料の自由記述では、 「働いているとスーパーをあちこち回るのは面倒なので、 スーパーに地元の商品がもっと置いてあると購入しやすい」 という趣旨の声も紹介されていました。

これは子育て世代にとって、とてもリアルな感覚ではないでしょうか。

忙しい家庭ほど、 「地元産を買いたい」より先に「一度の買い物で済ませたい」という現実があります。

だからこそ、 直売所を増やすことだけではなく、 いつものスーパーや量販店の中で、 地元産がもっと自然に見つかることが大切になります。

地産地消を特別な行動にしないこと。 それが、広がっていくための一つの条件なのかもしれません。

給食は、家庭につながる強い入口

鈴鹿では、中学校給食のすずか産野菜使用率が 39.0%と、目標の40.0%に近づいていました。

これは単なる数字以上に、 地産地消がすでに子どもたちの生活の中に入り始めていることを示しています。

給食暮らしとのつながり方
学校 給食で地元野菜に触れる
家庭 「今日の給食、地元の野菜だったかな?」という会話が生まれる
地域 食育と農業への関心がつながりやすくなる

地産地消は、売り場だけで完結する話ではありません。 給食や学校での体験を通じて、 子どもが気づき、それが家庭の会話につながる。

こうした流れも、 鈴鹿の地産地消を支える大切な導線のひとつだと思います。

市民が今すぐできる、小さな地産地消

大きな制度や仕組みの話だけでなく、 暮らしの中でできることもあります。

🌱 今日からできるヒント
  • いつものスーパーで地元産コーナーの場所を一度探してみる
  • 旬の野菜を見かけたら一品だけでも選んでみる
  • 子どもに「今日の給食、地元の食材あった?」と聞いてみる
  • 買えた場所を家族で共有しておく

地産地消は、毎回完璧に意識しなくても大丈夫です。 まずは「見つけたら選ぶ」「知っている場所を増やす」くらいの感覚でも、 暮らしの中では十分大きな一歩になります。

鈴鹿の地産地消は、もう次の段階に来ているのかも

今回の協議会資料から見えてきたのは、「地元を応援したい」という気持ちがないわけではない、ということでした。

むしろ鈴鹿では、 その気持ちをどうすれば日常の買い物に結びつけられるか、 という次の段階に入っているように感じます。

  • 売り場がもっと見つけやすくなること
  • 場所や旬の情報が分かりやすく届くこと
  • 給食や家庭の会話がつながっていくこと

そんな小さな工夫の積み重ねが、 地産地消を特別なものではなく、 鈴鹿のふつうの暮らしにしていくのかもしれません。

「応援したい」気持ちを、「今日の買い物で選べる」形に変えていくこと。
そこに、鈴鹿の地産地消のこれからがありそうです。

※本記事は鈴鹿市公開資料「令和7年度第1回 地産地消推進協議会」および添付資料の内容をもとに構成しています。公開資料時点の情報に基づき作成しています。

すずこれ編集部
この記事を書いた人
松山かな
看護師/すずこれ編集長

三重県鈴鹿市在住。
看護師として働くかたわら、地域メディア「すずこれ」を運営。
鈴鹿の暮らし・子育て・医療・まちづくりを生活者目線で発信しています。

📚 連載|鈴鹿の地産地消「大好きすずか産」
鈴鹿市の地産地消ブランド「大好きすずか産」を、公開資料をもとにすずこれ編集部が解説する連載です。
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