【第2部】安心と美味しさを両立する米粉パン|ケンちゃんのぱんの工房ルールと開発秘話

【第2部】「安心」と「美味しさ」を両立させるために

📌この記事の3つのポイント
  • 工房では「小麦・卵・乳・ナッツ類」を一切持ち込まない徹底方針
  • 冷めても固くなりにくい米粉パンを生むための独自研究
  • 失敗から誕生した「帽子パン」に込められた妥協しない開発姿勢

はじめに

アレルギー対応のパンづくりは、「原材料を置き換えれば完成」という単純なものではありません。

使う素材だけでなく、工房の空気、器具の扱い、ルール、そして日々の緻密な管理——そのすべてが「安心」につながっています。

同時に、「美味しい」もあきらめない。その2つを両立させるために、どれほどの工夫が積み重ねられているのか。今回、その一部を伺うことができました。

1. 工房に「小麦・卵・乳・ナッツ類」を持ち込まない理由

ケンちゃんのぱんさんの工房には、小麦・卵・乳・ナッツ類の4つの主要アレルゲンが一切置かれていません。

アレルギーの症状は人によって本当にさまざまで、原材料に含まれていない場合でも、器具の共有や空気中の微量な混入(コンタミネーション)によって反応が起きてしまうことがあります。

だからこそ、工房全体を「アレルゲンを持ち込まない空間」として守ることが大前提のルール。“安心”のために欠かせない、揺るがない土台です。

2. 冷めても美味しい「給食コッペパン」への挑戦

米粉パンは、小麦パンに比べて劣化が早く、冷めると固くなりやすいという性質があります。この弱点は「学校給食」という場面では大きな課題でした。

給食では温め直しができず、子どもたちは配膳されたままの状態で食べることになります。

そこで始まったのが、「冷めても固くなりにくい」コッペパン開発の研究でした。

原材料の割合、混ぜる順番、発酵の調整、完成後の食感の持続性。一つひとつ検証し、何度も試作を重ねた末に、「冷めてもふんわり美味しい」独自の配合が生まれました。

これは、学校で初めて食べるパンが“美味しい体験”になるための、大切な工夫です。

3. 失敗から偶然生まれた人気商品「帽子パン」

「メロンパンを作りたい」——そんなシンプルな気持ちから挑戦が始まりました。

しかし、通常のメロンパンにはアーモンドプードルなどのナッツ類が欠かせません。ナッツが使えない条件では、どうしても理想の形に近づけず、失敗が続きました。

その過程で偶然生まれた形が、のちに「帽子パン」と呼ばれることになります。

最初は商品化を迷ったそうですが、モニターの声を聞きながら改良を重ね、気づけば人気商品に。失敗を失敗で終わらせず、「お客様と一緒に育てていく」姿勢から生まれた、大切なパンです。

4. 素材はできるだけ「鈴鹿の農家さん」から

米粉の主原料となるお米は、できるだけ鈴鹿の農家さんから仕入れています。

店主さん自身が以前、農家でアルバイトをしていた経験があり、厳しい環境で作物を育てる大変さを身をもって知っているからこそ、素材を大切に扱いたいという想いがあります。

「苦労して育てられたお米を、美味しいパンの形にして届けたい」——そんな尊敬と誠実さが、言葉の端々ににじんでいました。

✏️ 編集長:松山加奈の感想

今回のお話を伺い、改めて「安心をつくる」というのは、原材料を変えるだけではないのだと感じました。工房全体のルール作り、日々の管理、試作を重ねる根気強さ。そのすべてに、“誰かの食卓を守りたい”という静かな情熱があります。

技術と愛情の両方があるからこそ、「安心」と「美味しさ」は共存できる。その積み重ねが、ケンちゃんのぱんさんを特別な存在にしているのだと思います。

特に印象的だったのは、失敗から新しい商品が生まれる柔らかさと前向きさ。地域の声を大切にしながら成長していく、その姿勢に大きな希望を感じました。

鈴鹿で、こんな思いを込めてパンを作っているお店がある——それだけで、地域の子どもたちの未来が少し明るくなるように思います。

松山かな(看護師/すずこれ編集長)

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