鈴鹿市の広報で見えてきた課題と傾向 ― 3つのアンケートが教えてくれた“いまの問題点”

第2部

鈴鹿市の広報で見えてきた課題と傾向
― 3つのアンケートが教えてくれた“いまの問題点” ―

文:すずこれ編集部

第1部では、鈴鹿市の広報が「どの媒体で」「どの世代に」「どんな形で」届いているのかを、全体像として整理しました。
第2部では、アンケート結果から浮かび上がった具体的な課題やつまずきポイントを、できるだけ客観的にまとめていきます。生活者の声をそのまま拾うような感覚で、数字に表れている「リアル」を読み解いていきます。

◆ はじめに

今回のアンケートは、市民・自治会長・市公式LINE登録者という3つの異なる立場から回答が集まっています。それぞれの立場で見えている景色は少しずつ違いますが、数字を丁寧に追っていくと、「どこに課題があるのか」「どんなモヤモヤがあるのか」が少しずつ見えてきます。

この第2部では、そうした課題や違和感のポイントを、分野ごとに整理していきます。

◆ 1. 「広報すずか」は読まれているのに、読まれない理由も多い

市民アンケートでは、84.6%が「市政情報の主な入手方法」として「広報すずか」を挙げました。一方で、

  • ほとんど読まない:10.8%
  • 全く読まない:5.3%

という層も一定数存在します。

● 読まれない理由のトップは「興味を引く情報がない」

「ほとんど読まない」「全く読まない」と答えた人に、その理由を聞いた結果:

  • 興味を引く情報がない:54.3%
  • 情報が分かりにくい:12.7%
  • 文字が小さい:6.9%
  • 届いていない:7.5%

この結果は、「紙で届いているかどうか」だけでなく、中身の魅力や分かりやすさが今後の重要なポイントになっていることを示しています。特に「文字が小さい」という指摘は、60代以上で目立ち、高齢化が進む鈴鹿市にとって見過ごせない声です。

◆ 2. 発行回数は「月1回」が多数派に

「広報すずかの発行回数についてどう思うか」という問いに対し、「月1回でよい」と答えた割合は次のとおりでした。

  • 市民:51.7%
  • 自治会長:60.0%
  • LINE登録者:46.5%

一方、「月2回のままがよい」は、

  • 市民:37.4%
  • 自治会長:35.3%
  • LINE登録者:45.0%

という結果でした。

全体としてみると、「月1回のほうが助かる(読みやすい・負担が減る)」という方向に意識が動きつつあると言えます。特に自治会長は配布の担い手でもあるため、「月2回だと負担が大きい」という現実的な感覚が数字に表れているようです。

◆ 3. 自治会から見える“人手不足”と“配布の負担”

自治会長アンケートでは、広報すずかや回覧板の配布業務に関する負担感が、はっきりと示されていました。

  • 配布負担が大きい:78.9%

自治会は、地域の情報を各世帯に届ける「情報の通り道」として機能していますが、その裏側では、

  • 仕事や家事の合間に配布している
  • 高齢の役員が徒歩で1軒ずつ回っている
  • 世帯数が多い地区では1回に1〜2時間かかることもある

といった、マンパワーに強く依存した仕組みに頼っているのが現状です。

自治会長アンケートでは、「現行の配布方法を見直すべき」という声も多く、担い手不足や高齢化が進むなかで、このままの形を続けることの難しさがにじんでいました。

◆ 4. 市ウェブサイトは“探しにくい”という声が多数

市ウェブサイトについて、「見たことがある」と答えた市民は48.5%でした。そのうち、

  • 情報が「探しやすい」:59.9%
  • 「探しにくい」:37.8%

と、約4割が「探しにくさ」を感じている結果になりました。

● 探しにくい理由

  • 表示されている語句から、探したい情報を連想できない:54.6%
  • 申請書類がどこにあるか分からない:29.1%
  • 字が小さい:11.2%

特に「表示されている語句から情報を連想できない」は半数を超えており、カテゴリ名やメニューの言葉が、生活者の感覚とズレている可能性があります。

行政として必要な分類と、市民がふだん使う言葉のあいだにギャップがあると、「欲しい情報になかなかたどりつけないサイト」になってしまいます。情報量の多さが、そのまま「使いやすさ」につながっていない典型的な例と言えそうです。

◆ 5. 市公式LINEは“高評価なのに利用率が低い”

市公式LINEは、利用している人からの評価が非常に高い媒体です。

  • 「役立っている」+「どちらかというと役立っている」:84.4%

ただし、市民全体のアンケートで見ると、LINEを「友だち追加している」人は15.6%にとどまっています。

つまり、LINEは「使うと便利だが、まだ一部の人しか使っていない」状態であり、ここにも大きなギャップがあります。

●「役に立たない」と感じる理由

一部の利用者からは、こんな声も上がっています。

  • 必要な情報がない:64.7%
  • 内容がわかりにくい:35.3%

この結果からは、単に配信量を増やすのではなく、「どんな情報を」「どう分類して」「誰に届けるか」という設計が重要であることが見えてきます。配信内容のカスタマイズや、分野ごとの選択制といった工夫も、今後の検討ポイントになりそうです。

◆ 6. 三者共通のニーズは「防災」「医療」「福祉」

市民・自治会長・LINE登録者に「今後、特に力を入れて発信してほしい情報内容」を尋ねると、どの対象でもトップ3はまったく同じでした。

  1. 防災・安全
  2. 健康づくり・医療
  3. 保険・福祉

鈴鹿市は、台風や豪雨、南海トラフ地震など、さまざまな自然災害のリスクを抱える地域です。また、高齢化が進むなかで、医療や介護、福祉に関するニーズも高まっています。

こうした背景を踏まえると、「まずは生活の安心・安全にかかわる情報をしっかり届けてほしい」という市民の思いが、3つのアンケートに共通して表れていると言えます。イベントや観光の情報も大切ですが、その土台としての「防災・医療・福祉」が強く求められているのが、今回の結果から見えたポイントです。

◆ 7. 第2部まとめ

第2部では、3つのアンケートから浮かび上がった「課題」や「モヤモヤ」を整理しました。あらためてポイントをまとめると、次のようになります。

  • 紙の広報すずかは多くの市民に読まれている一方、「興味を引く情報が少ない」「文字が小さい」という不満も一定数ある
  • 広報すずかの発行回数については、「月1回でよい」という声が市民・自治会・LINE登録者のいずれでも最多
  • 自治会は情報の配布を担う重要な存在だが、配布負担が大きく、担い手不足や高齢化が進んでいる
  • 市ウェブサイトは「探しにくい」という声が4割近くあり、特にカテゴリ名・用語と生活者の感覚のズレが課題
  • 市公式LINEは利用者からの評価が高いにもかかわらず、登録率が低く、情報格差が生じやすい構造になっている
  • 市民・自治会・LINE利用者のいずれも、「防災・医療・福祉」の情報を最も重要だと考えている

これらの結果は、鈴鹿市の広報が「何を変え、何を大切にしていくべきか」を考えるうえでの、重要なヒントになります。第3部では、今回のデータをもとに、これからの鈴鹿市の広報の方向性について、すずこれとしての整理と提案をまとめていきます。

第2部のデータを読んでいて感じたのは、「広報は届いているのに、もっと良くできる部分がたくさんある」ということでした。

看護師として地域で関わるとき、困ったときの情報がすぐに見つかるかどうかは、その人の安心にも直結します。必要なときに、必要な情報に、迷わずたどりつけるかどうかは、とても大きな意味を持ちます。

紙もデジタルも、それぞれの良さを活かしながら、誰にとっても「見やすい」「探しやすい」広報になるといいなと、アンケートの数字を追いながら、改めて感じました。

松山加奈(看護師/「すずこれ」編集長)

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