「やってみたい!」を我慢しなくていい場所。こどもお菓子教室 smile・先生の物語

文:松山かな(看護師/すずこれ編集長)

📌 この記事の3つのポイント

  • 幼い頃の「できなかった経験」から生まれた、“子どもの挑戦を応援する教室”
  • 「失敗も経験」――お菓子作りを通じて育てたいのは、心のたくましさ
  • 鈴鹿で、子どももお母さんも“ほっとできる居場所”を目指して

幼いころ、台所は「遠い場所」だった

「子どものころは、3姉妹の末っ子で、母は毎日忙しく働いていました。お手伝いをしたくても『今は無理よ』と言われて、包丁を持とうとすれば『危ないから』と止められて……。気づけば台所は、私には遠い場所になっていました。」

お菓子教室 smile の先生は、やさしい笑顔でそう話してくれました。料理やお菓子へのあこがれを抱きながらも、自分で作る機会がほとんどなかった幼少期。その「できなかった経験」こそが、今の教室を生むきっかけになったといいます。

「姉がお菓子を作るようになってから、いつも『すごいなぁ』って憧れていました。あのとき感じた“羨ましさ”が、実は今の私を動かしているのかもしれません。」

家族の笑顔がくれた“自信”という宝物

大学生の頃、姉のまねをしてお菓子を作ってみたものの、思うようにいかず落ち込むことも。でも、結婚して母になってから、少しずつお菓子づくりが自分の暮らしの中に溶け込んでいきました。

「息子の1歳のお誕生日に、ヨーグルトクリームのスマッシュケーキを作ったんです。それを見た主人と息子がとても喜んでくれて、『自分の手で作って喜んでもらえるって、こんなに嬉しいんだ』と感じました。」

それからは、手作りのお菓子やパンが家族の楽しみになりました。誕生日や季節のイベントは、いつも台所から笑い声が聞こえる時間。“作って、喜んでもらう”という経験の積み重ねが、先生にとって何よりの「自信」になっていきました。

カフェでの経験が、“趣味”を超えてくれた

小さなカフェでスイーツ担当として働き始め、最初に任されたのはランチにつけるシフォンケーキや、なめらかプリンでした。最初のうちは膨らまないシフォンに何度も試作を重ね、焼き加減や配合を工夫。やがてカフェタイムのデザートや季節のパフェも任されるように。

「『あなたの作るスイーツが食べたくて来ました』というお客様の言葉が、本当にうれしくて、胸の奥がじんわり温かくなったのを覚えています。」

子どもたちに「やってみたい」を我慢させたくない

「キモノdeおさんぽ」でカフェ内ワークショップを担当したとき、参加した子どもたちのキラキラした表情に心を動かされました。娘の友達とチーズケーキを作った際も、子どもたちは夢中に。SNSで「こども専門のお菓子教室」という言葉に出会い、講師講座を経て、こどもお菓子教室 smile が誕生します。

失敗してもいい、“安心して挑戦できる居場所”を

「私が子どものころは、やってみたいと思っても、なかなか台所に立たせてもらえませんでした。だからこそ、今の子どもたちには“やってみたい”を我慢させたくなかったんです。」

こぼしても、分量を間違えても大丈夫。ここは「失敗してもいい場所」。失敗する前に止められてしまうと、自分で考えるチャンスがなくなってしまいます。お菓子づくりは、子どもたちに“生きる力”を育てる学び。うまくいかなくてもやり直せばいい――その積み重ねが「できた!」の喜びと自信へつながります。

「続ける」ことの中に、心の変化がある

smile の教室は単発ではなく、月1回の定期クラスが中心。その理由は、子どもたちの変化を「続けて」見守りたいから。

「一度きりだと“楽しかった思い出”で終わってしまう。でも通い続けるうちに少しずつ信頼関係ができて、性格や好みも分かってくる。『前より上手にできたね』と声をかけられることが、子どもたちの自信につながるんですよ。」

できなかったことが、できるようになる。その瞬間の笑顔を、そっと見守る――smile は、そんな「成長を見届ける教室」です。

「人と違ってもいい」――自分らしくいてほしい

先生が伝えたいのは「自分の意見を言えることの大切さ」。

慎重に混ぜる子、勢いよくかき回す子。形がバラバラでも、それぞれがその子の“らしさ”。安心して自分を出せる場所でありたい――そのまなざしは、先生のやさしさそのものです。

「教える」よりも「一緒に育っていく」時間

印象に残るエピソードとして、レッスン中に「今日はお母さんの誕生日」と話してくれた子がいました。誕生日のクッキー型を選ぶ姿に、先生まで幸せな気持ちに。子どもたちの「今日も楽しかった」「また来たい」、保護者の「ありがとう」。それが先生の原動力です。

「教える側のはずが、いつも子どもたちにパワーをもらっています。この教室は、私自身が“育ててもらっている場所”なんですよ。」

鈴鹿で見つけた、「親子が笑顔になれる時間」

先生は鈴鹿で子育てをしてきたお母さん。地域に支えられた経験から、今度は支える側に。「この鈴鹿で、子育てをがんばるお母さんや子どもたちの力になりたい。教室が“ちょっとひと息つける居場所”になれたら嬉しいです。」

お菓子を作る子どもを見て「すごいね」「工夫したね」と声をかけるお母さんの表情は、本当に素敵。お菓子づくりを通して会話が増え、食卓が少し特別になる――そんな家庭の時間を、これからも大切にしていきたいと話します。

これからの夢――地域とつながりながら

地域イベントへの出店や、支援センター・小学校でのレッスンなど、もっと地域とつながる活動を広げたいという先生。お菓子教室という枠を超え、“子どもたちの挑戦と成長を応援する居場所”としての smile

「失敗してもいい、完璧じゃなくてもいい。それでも『楽しかったね』って笑える時間があれば、それが一番の幸せなんです。」

松山かなの感想

先生のお話を伺って、「教室」というより“生き方そのもの”を感じました。自分の原体験を、子どもたちの未来を支える力に変えるその姿に、同じ母として深く共感しました。お菓子を通して学ぶのは、作り方だけでなく“心のあり方”。その場の空気には、やさしさと温もりが溢れていました。鈴鹿の子どもたちが、こんな先生と出会えること――それが、何よりの宝物だと思います。

松山かな(看護師/すずこれ編集長)

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